最低賃金上昇の影響

令和7年度の最低賃金は、全国加重平均で1,121円となり、前年度から66円上昇しました。昨年度までは1,000円を割る都道府県がありましたが、今年度は全都道府県で1,000円台となりました。

今春、様々な年収に係る“壁”が話題になりましたが、所得税に係る“103万円の壁”は引き上げられました。今回の最低賃金の上昇により、1,121円で週20時間働くと社会保険の加入が必要となる“106万円の壁”を超えるため、今後はこの壁の議論が待ったなしになります。

働き手としては、日常生活で物価上昇を感じる中、壁を超えると社会保険の加入により手取が減りかねませんが、厚生年金の加入は将来の年金収入にも関係するため、働き控えをすべきか悩ましいところです。一方の経営者としては、経営環境が不安定な昨今ですが、補助金等の活用により、継続的な賃上げに対応できる体制を構築することが求められます。

経営体力が乏しい中小企業にとっては、目前の公的な支援があるとありがたいわけですが、長期的には、物価上昇が賃金上昇につながって、延いては日本の国力向上に繋がる、と皆が思える世の中になればと思います。